みちのくの初夏の味覚ミズのたたき
カテゴリー: 料理:山菜・筍・茸
前記事でご紹介しました仙山交流味祭inせんだいの会場には山形からたくさんの出店があり、米沢牛や玉こんにゃく、お漬け物などがお安く販売されていました。その中で新鮮な山菜を扱っているお店を見つけました。そこには旬を迎えた太い赤ミズも並んでいましたよ。
赤ミズはイラクサ科のウワバミソウというのが標準和名ですが、ウワバミって蛇のことです。蛇がよくいるような日陰の湿地に多いから付けられた名前でしょうが、美味しい山菜なのに無粋ですね。赤ミズは名前の通り、根元が赤く、水分の多い、瑞々(みずみず)しい山菜で、山歩きの時に喉が乾いたら、これを噛めば渇きが癒えます。もしかしたら、ミズナが略されてミズになったのかも知れません。
赤ミズに対して根元の赤くならない青ミズというのもありますが、こちらは別種で正式にはヤマトキホコリ(イラクサ科)といいます。全体的に赤ミズより華奢で、人気も赤ミズの方に軍配が上がります。
仙山交流味祭(5/29〜5/30)のお店で見つけた赤ミズです。太々として美味しそう。一束300円でした。

赤ミズの他にもしどけ、あいこ、くわだい、わらび、たけのこなどが販売されています。赤ミズの根元には粘りの成分であるムチンが多く含まれるので、擂ったり叩いたりするとトロロ状になります。トロロ昆布のようなので、ミズ昆布と呼んでいる地方もあります。
まずは根元のひげ根をそぎ落とします。根元と茎の部分に分けて軽く茹でます。茎はお浸しにする場合はよく湯がき、煮物や炒め物は発色させる程度にサッと湯がきます。

根元でトロロを作る場合は生でも構わないのですが、軽く熱を通した方が叩きやすくなるような気がします。皮を剥いだ方がよいという方もいますが、よく叩いてしまえば変わりません。繊維質も体によいのでなるべく食べるようにしましょう。一方、茎の部分は熱を加えると、見る見る蛍光色のような緑色に変わっていきます。
トロロですが、ワラビたたきの時と同じように、最初に麺棒で叩き潰します。
こうすることで粘りがよく出ます。片端を押さえて束がばらけないように叩いていくのがコツです。
続いて、出刃包丁で徹底的に叩き込んでいます。本日の味付けはさっぱりと薄口醤油とおろし生姜にしました。
包丁自体の重さを利用して、リズミカルに繊維を断ち切っていきます。途中で粘りを出すようによく練って下さい。さらに、擂り鉢で擂ることもありますが、この段階で納得のいく粘りがでれば完成です。山形や秋田ではよく味噌と木の芽や大蒜で調味しますが、ミズの爽やかを楽しむにはこのように薄口醤油と生姜が適しているように思います。
はい、完成しました赤ミズのトロロです。赤ミズと言えども、仕上がりはメカブトロロのような緑色です。
根元の赤いところだけを集めれば薄紫色に仕上がりますが、量も欲しかったので上段の写真のように緑の部分も少々使ってます。
トロロには何といってもご飯でしょう。トロトロ、カリカリの食感がご飯によく合います。
山芋やメカブより爽やかで、この季節にぴったりのトロロです。仄かな生姜の香りも爽やかを高めます。
一方、こちらは茎のお浸しです。茹でて綺麗な緑になった茎をダシ醤油に1時間ほど浸します。

こちらもさっぱりとして、ミズの特徴をよく活かした逸品です。太い部分は筋が硬いので、取り除いておいた方がよいでしょう。
早春のフキノトウから始まり、コゴミ、タラの芽、シドケやワラビにアイコ、さらにミズへと続いていくみちのくの山菜は夏野菜までのプロローグ。保存用の塩蔵品はともかく、フレッシュな山菜が季節外れに出てきたら興醒めですよね。でも、現代の野菜の大部分はそんな感じです。旬がないのです。我々が我慢すれば、無駄なエネルギーの消費やCO2の放出も抑制できるのですが・・・。


