【福島県大内宿】ねぎ一本で食べるねぎそば
カテゴリー: 外食:蕎麦
この何とも不思議なそばをご存じでしょうか。丼に横たわるねぎ1本、、、まるでお供え物のようですね。これが福島県は大内宿の名物ねぎそば、またの名を高遠そばと言います。箸ではなく、ねぎを使って食べる前代未聞のおそばです。
最近マイブームになっているバスツアー。マイカーのように自分で行き先を決めて、好きなところに好きなだけ滞在することは出来ませんが、移動の途中は昼寝をしたり、現地で見つけた美味しいものでビールを飲んだり出来る利点はあります。今回は福島県南部の下郷町から栃木県の那須高原にかけての周遊です。4編に分けて、美味しいものをご紹介いたします。
最初の目的地は福島県下郷町の大内宿です。会津若松から20Kmほど南にあります。昔の茅葺き屋根が建ち並び、江戸時代の宿場町の雰囲気を体感できます。
大内宿は長野県の妻籠宿、奈良井宿とともに国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。この風景はよく観光パンフレットなどにも使われていますね。町外れの山にある神社の参道からの撮影です。
450mの街道沿いには寄棟造や茅葺きの民家が整然と建ち並んでおり、それぞれが、民芸品や郷土料理を販売しています。
この日は生憎の雨でしたが、この街並みには煙った山々がよく似合いのです。
お店の看板娘も見逃しません。^^
どちらのお店も庭先の縁側に商品を並べて販売していますが、寒い季節はどうやっているのでしょう。雪も多い地域だとも聞いています。
しんごろうもちはこの地方の郷土料理だったんですね。
半突きのご飯を丸めて串に刺し、じゅうねん(荏胡麻)を擂り入れた味噌を塗って香ばしく焼いています。見るからに美味しそうです。これは貧乏だった新五郎という人が餅の変わりに作り出したものとのこと。それが殊の外美味しく、村中で評判になり郷土料理として定着したそうです。
さて、大内宿では以前から気になっていたねぎそばを食べるのが今回のミッションの目的です。ねぎそばは別名を高遠そばと言うそうです。高遠とは信州の桜とそばで有名な町ですが、会津藩の初代藩主保科正之は元々、高遠藩3万石の城主でした。江戸では玉川上水を作ったり、名君として知られており、また、大変なそば好きだったとか。会津に転封される際にも、そば職人も連れてきて蕎麦切りを普及させたと言われています。
大内宿でねぎそばを食べさせる店は数件ありますが、最も有名なのは入り口に近い三澤屋さんです。
ただ、こちらはいつでも満席で、1時間以上待つことはざらです。バスツアーでは決められた時間に集合しなければ皆様にご迷惑をお掛けしますので、今回は他のお店に参ります。
こちらはねぎそば元祖店と標榜している大和屋さんです。
大和屋さんは民宿と食堂、お土産物屋を経営しています。食堂は左側奥にありますが、その途中の軒下でも食べられます。
ねぎ1本で食べるねぎそばの看板が至る所にあります。
わかりやすくて有り難いですね。待ち時間を聞いたら、5分ほどですとのことでしたので空いていた席に座りました。
ねぎそばの他にもざるやかけ、五目ご飯と組み合わせたセット物もあります。餅料理も6種類くらいありました。席に着くとすかさず、そば茶と漬け物が出されます。
ねぎそばは冷たいのと暖かいのがあります。やはり、多少寒くても初めてのそばは冷たく頂きたいですね。漬け物はさすがに箸で頂きます。^^
浅漬けをパリパリ頂いていますと、ねぎそばの登場です。丼が小さく見えますが、深みのあるタイプです。
確かに見慣れない光景です。1本ねぎは箸の代わりであり、少しづつ囓りながら薬味としても使います。ねぎを食べるペース配分を誤ると途中で箸がなくなってしまいますね。^^
さっそく、そばをねぎで手繰って見ましたが、何とも食べづらい。
騙し騙し手繰り上げていきますが、口に入る寸前に落ちてしまって、無様な姿を晒すことになりました。そばは色白の平打ちで少し軟らかめです。三七ぐらいではないでしょうか。具としてワラビの水煮とナメコが乗った、いわゆる山菜ぶっかけですね。つゆもすっきり甘さが押さえてあり、飲み頃です。ただ、それほど個性的でもなく、普通に美味しいお蕎麦でした。
ちょっと、工夫して上のようにワン・バイト入れてみましたところ、ここにそばが掛かってなかなか具合がよろしい。
ですが、薬味として食べ進むと下のようになって、外皮からばらけて、かえって食べにくくなりました。囓る時は金太郎飴のように輪切りになるようにするのが良さそうですよ。それとそばはすくって手繰り上げるのではなく、丼の縁に押しつけて引っかけるのがコツですね。
なんとか完食です。そばが少なくなったら、丼を持ち上げて、ねぎですすり込むしかありません。
ねぎもほとんど使いました。このねぎは辛さが適度で甘味もあります。これを普通の葱でやったら一日中むせ返るでしょうね。^^
江戸時代風の宿場町でそばをすすっていると、木枯らし紋次郎にでもなったような気になります。ただ、このねぎそば(高遠そば)は現代の大内宿で作られたものでして、保科正之公が高遠で食べていたそばは喉越しの良い三七で、辛み大根である高遠大根のおろし汁に焼き味噌を溶いたもので食べていたようです。もちろん葱も使いましたが、刻んであったのでしょう。これをからつゆと言い、現在のようなそばつゆをあまつゆと言ったそうです。会津では長い間にあまつゆに変わっていったのでしょう。
それにしても、よくぞまあ、ねぎ1本でそばを食べるという可笑しなことを思いついたものです。これが、珍しくて面白くて大ブレークしたのですから、堪りませんよね。大体、どこのお店でも950~1050円ですから、これも笑いが止まらないでしょう。^^ アイディアを活かした地域活性化の優良事例として歴史に残るのではないでしょうか。
大内宿 大和屋
- 所在地 :福島県南会津郡下郷町大字大内字山本6
- 電話 :0241-68-2911
- 営業時間 :8:00~17:00
- 定休日 :無休
- 駐車場 :大内宿の入り口周辺にあり
- 宿泊 :一泊二食付 7,000円
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