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飯寿司(いずし)の素晴らしさ 

カテゴリー: 料理:買い魚

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 鮭の飯寿司いずし)を作ってみました。ご飯と米麹が甘味を、乳酸菌が酸味を作り出して奥の深い味わいに仕上がっています。シャキッとした野菜と引き締まった鮭が醸し出す北国冬の佳味です。11月10日から13日の一連の記事で、荒町の麹屋さんで買い求めた米麹を使って、甘酒や三五八漬けを作って、麹の取り扱いの練習をしてみました。その際にもう1品仕込んでいると書いておきましたが、それが鮭のいずしだったのです。

 

 

 

 

 


 いずしとはご飯と魚だけで長期間漬け込んだなれずしの簡略版です。なれずしは琵琶湖の鮒寿司や和歌山のさんま寿司のように常温保存が可能な最も発酵が進んだ状態の保存食で全ての寿司の原点とされています。これは強烈な臭いが鼻を突き、多くの人はその美味しさを理解する前に白旗を揚げてしまいます。私は滋賀県の友人に送ってもらい恐る恐る味わいましたが、一遍で虜になりました。子持ちのゲンゴロウブナが長い間の乳酸発酵で得も言われぬ妙味に変身しているのです。

 


 このなれずしほど発酵を進ませず、麹の力でご飯からも旨味を加えた魚の漬け物がいずしです。これは低温で発酵を進め、40~50日で完成し、その後10日ほどで食べ切るようにします。この範疇に入るのが、石川県のかぶらずし(蕪と鰤)、秋田県のハタハタ寿司、北海道の鮭やニシンのいずし等です。ちなみに、江戸前の握り寿司や関西の箱寿司はこれらに対して早(はや)寿司と呼ばれていました。乳酸発酵をさせず、ご飯に酢を加えて、すぐに食べることが出来るからです。

 


 今回、このいずしをネット上に公開して良いものか悩みました。それはポイントを押さえずにいずしを作るとボツリヌス菌を繁殖させてしまう危険性があるからです。ご存じの方も多いと思いますが、ボツリヌス菌が作り出す毒素(ボツリヌストキシン)は生物兵器にも使われるほど強力で、有名な宗教団体も研究していたくらいです。以前、辛子蓮根による集団食中毒事件があり、36名の中毒患者の内11名がなくなりました。この時の原因生物がボツリヌス菌でした。

 


 また、最近では岩手県(2007年)で自家製のアユのいずしで、宮城県(2006年)では井戸水によりボツリヌス菌の食中毒が発生しています。このアユのいずしは常温で半年以上保存したものでした。いずしに関する正しい知識がないと危険が伴うのです。そこで、お願いがあります。以下に私なりの作り方をご紹介しますが、もし、作る場合には「いずし」「ボツリヌス」で検索されるサイトを十分に読み込んで正しい知識を身に付けて下さい。こちらのサイトは特にわかりやすくて参考になりました。


 

 基本はボツリヌス菌を持ち込まないことと繁殖させないことに尽きます。ボツリヌス菌は湖沼の底泥土の中に広く分布しています。また、井戸水や河川水も汚染されていることがあります。ボツリヌス菌は他の多くのバクテリアと同じように、高塩分低温低Ph件下では繁殖が抑制されますので、以下の事項を守って作って下さい。ただし、もしこれで中ったとしても責任は負いかねますので、自己責任でお願いいたします。

 

 1 淡水魚では作らない。井戸水河川水も使わない。
 2 材料は水道水でよく洗い、漬け込む容器も熱湯消毒をしておく。
 3 漬け込む魚は十分にをしておく。決して甘塩物は使わない。
 4 魚は一度食酢に浸しておく。(Ph5以下)
 5 冷蔵庫で発酵・熟成させる。(5℃以下)
 6 自信がない時は作らない。変な臭いがしたらすぐ捨てる。
 7 出来てすぐ家族や他人には食べさせない。まず、自分で食べて様子
         を見る。
 8 体に異常を感じたら、すぐに病院(内科)に行く。


 

 

 少し、脅かしすぎた過ぎたかも知れませんが、食品衛生・医療関係者から見れば、ボツリヌス菌いずしというくらい危険視していますので、十分すぎるくらいに慎重になっても損はありません。また、米と魚が微生物の力を借りて出来たなれずしやいずしは、単なる保存食としてだけではなく奥深い美味として、日本の誇る発酵食品であることも事実です。このような伝統的食文化を絶やすことは日本の財産を失うことにもなりますね。

 

 

 


 

 

 さて、材料ですが、出来上がりはボリュームが半分程度になりますので、丼一杯程度作るにもこれくらいの材料が必要になります。
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 鮭のいずしの材料(出来上がり丼一杯分)

 

   塩鮭の切り身    3切れ
 キャベツ       半分
 大根         半分
 人参         1本
 生姜         一かけ
 ご飯         丼1杯
 米麹         300g
 唐辛子        少々
 日本酒       カップ半分
 塩          小匙3
 醸造酢        少々 

 

 

 

 最初に人肌くらいに冷ましたご飯にと日本酒を混ぜて、保温しておきます。この間に他の材料を準備します。
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 湯煎をして保温し、麹を活性化させます。この作業は行わなくても出来上がりの味にはあまり影響はありませんが、ご飯と麹がよく馴染んでいるとデンプンの分解が速まり、引き続く乳酸発酵も速まって、Phの低下も促進されます。使う前には十分に冷ましておきます。

 

 

 

 

 

 野菜は水道水でよく洗った後、それぞれ適当に切っておきます。
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 キャベツはざく切り、大根は鉈切り、人参は見た目も考慮して千切りにしました。生姜も千切り、唐辛子は輪切りにしておきます。

 

 


 

 

 

 野菜は軽く塩(分量の半分)をして、しんなりさせておきます。(これは紅)は皮を取って4~5mm位にスライスして、漬け込む前に食酢に浸します。
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 漬け込み前に野菜塩をするのは、冷蔵庫内で保存するのであまり大きな容器は使えません。そこで、事前に野菜のボリュームを減少させるのが目的です。鮭が甘塩の場合は、塩を振って一晩置いてから使います。

 

 


 

 

 

 

 漬け込み容器にプラスティックバッグ(ポリ袋)を入れ、その中に野菜の1/4位を敷き詰めます。その上にを混ぜたご飯と生姜、唐辛子を散らします。
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 今回使います漬け込み容器は上側が20×16cm、深さ13cm位の樹脂製の密閉容器です。容器の大きさは冷蔵庫内のスペースと相談して下さい。北東北や北海道ならキッチンの隅や床下収納でもよいので大きな容器が使えますが、最高気温が10℃を超えることもある宮城の冬では危険です。

 

 

 

 

 

 

 その上に鮭のスライスを並べ、また野菜を乗せます。
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 これを3~4回繰り返し、最後に野菜と麹ご飯を混ぜた物を被せるようにします。

 

 


 

 

 

 何段か重ねて、ミルフィーユ状態に詰め込みます。
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 あれだけあった材料が不思議なくらいに詰まってしまいます。これが40日後の出来上がりには半分になるのですから贅沢な漬け物ですね。

 

 


 

 

 

 漬け物には重しが付き物ですが、容器の大きさに合わせて、準備します。今回はダイビング用のウエイトを使います。
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 なければ(普通ありませんよね^^)、熱湯消毒した石や煉瓦を袋に詰めたものでもよいでしょう。重石をしたら蓋をして冷蔵庫の野菜室などでひたすら発酵が進むのを待ちます。

 

 

 

 

 

 

 これは2週間ほど経過した時の様子です。途中で水分が滲み出してきますので、捨てて下さい。その際も汚れた手で触れないように注意しましょう。
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 まだ、この時点では、発酵臭もなく、野菜の浅漬けにほんのり酢を加えたような風味です。鮭もまだかなり生っぽいですね。

 

 

 

 

 

 40日が経過しました。複雑な香りがしますが、嫌な香りではありません。はすっかり引き締まり、酸味もかなり付いています。
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 これから、脱水作業に入りますが、鍋と丁度収まる落とし蓋を用意します。鍋に出来上がったいずしを詰め替えて、落とし蓋を被せます。

 

 


 
 

 

 

  落とし蓋の上に鍋に入るボールか金属容器を被せます。この時、内側の容器が外側の鍋より飛び出していないといけません。
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 つまり、これをひっくり返して、外側の鍋の底に重石を乗っけて、重みでいずしの水分を押し出すのです。私は寝る前に風呂場の隅でやっています。この時も室温が10℃以下であるようにして下さい。脱水の仕方は網袋に入れて板で挟んで重石をするとか、他にもあると思いますが、呉々も二次的な細菌汚染には注意して下さい。

 

 

 

 


 

 

 苦労して出来上がった鮭のいずしです。酸味甘味、野菜の歯応え、鮭のコクが渾然一体となった深い味わいです。
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 見るからに美味しそうですね。これを眺めているとお酒を用意しなければ罪になるような気さえします。^^

 

 

 


 

 

 今宵は出来上がったいずしを記念いたしまして、祝杯を挙げさせて頂きたいと思います。^^
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 お酒は先日の純米酒蔵王がまだ残っていました。いずしを口に運んでよく味わい、馴染んだ頃に日本酒で追い打ちをかける。なんという、絶妙な取り合わせなんだろう。これが、ビールやウイスキーでは駄目です。焼酎でも役不足、ワインでも酸味がぶつかる。この時ばかりはやはり日本酒なんですねぇ。

 

   

 

 

 

 

 余談ながら、めでたさの演出ついでに紅白のイクラトロロとお凌ぎに紫蘇の葉むすびも添えてます。
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 一人で悦に入っておりますと、遅く帰ってきた細君が緑の物が足りないと、中鉢一杯の青菜のお浸し食べさせられました。なかなか粋に過ごすのは難しいですね。^^

 

 

 

 

 

 

 日本の伝統的な食文化の特徴は発酵・醸造にあると言われます。最近、この日本の財産が忘れ去られようとしています。食生活の欧米化で日本人の体格も顔立ちも欧米化してきましたが、その分、成人病や若齢の疾患も増えています。どこの国の民族も自分の国の文化を誇り思うものですが、日本人は埃程度にも思わないのは国際的に見ても格好悪すぎですね。今回ご紹介したような、というカビの力と乳酸菌を巧みに使った料理は世界に自慢できる逸品ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、いずしにイクラをかけて、親子いずしと洒落てみました。
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 これはビジュアル的にも華やかで正月に使えそうですね。

 

 


 

 

 

 

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壽丸

URL | [ 編集 ] 2008/12/08(月) 10:05:22

先日はありがとうございました!!!
また昨日は遠いところわざわざ。
お陰さまで、たっぷり日本酒が(笑)
サエモンさんの飯鮨といい、長州のへしこといい、
伝統的食品を手作りするって、大切ですよね。
見習いたいと思います。

びーえむあい

URL | [ 編集 ] 2008/12/08(月) 21:23:58

はらはらどきどき?さぞかし美味しかったでしょうねえー
タイで生まれた寿司の原型~なれずし~早寿司~笹寿司
今で言う寿司は冷蔵庫と共に生まれた食文化なんですよね…
自分で簡単に真似する事への怖さも含めて勉強になりました!

サエモン

URL | [ 編集 ] 2008/12/08(月) 22:35:12

  壽丸さん こんばんは。

 伝統的な料理は現代を生きる我々まで祖先が繋いできた物です。
海外文化をどんどん取り入れるべきですが、自国の伝統を忘れるのは
非常に愚かなことと思います。

 諸外国の方々が日本の何に挽かれるかというと、独自の文化なんですよね。
それを失ったら、単なるアメリカの極東支店になっちゃいますよ。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2008/12/08(月) 22:40:32

 びーえむあいさん こんばんは。

 先日、小泉先生の講演を聴いて来ましたが、
なれずしの原点を求めて東南アジアを調査していましたね。
なれずしは米と魚と塩が揃わないとできない保存食。
日本は旨い具合に条件が整いました。
 もちろんリスクも伴ったはずです。多くの犠牲で確立した
日本のなれずしーいずしーはやずしは噛みしめるたびに
その重みを感じますね。

風写

URL | [ 編集 ] 2008/12/22(月) 06:50:06

おはようございます

どの記事にレスを入れようか迷いましたが、とりあえず最新の記事にコメントします。

たまたま11月の雑誌を読み返していたら、「鰊の切込み」という、それはそれは美味そうな青森の名産珍味が出ていました。

http://www.rakuten.co.jp/kitaichi/441819/442366/

新鮮な鰊を細切りにして、塩、麹に漬け込み熟成させた珍味だそうです。

食した記憶が無いので、コメントしてみました。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2008/12/22(月) 21:02:07

 風写さん 今晩は。

 ニシンの切込み知ってますよ~。それはそれは、もう
日本酒との相性は最強無敵ですね。

 切込みはイカの塩辛にも使われる名称ですが、要するに
切り込んで漬け込んだもの。でも、ニシンの切込みは麹が
使われるのが一般的で、魚のタンパク質が分解したアミノ酸と
米と麹の甘さと塩味が渾然一体として、うっとりするような
美味さでした。

 出来ることなら、あのような美味しい物をこちらの魚で
作ってみたいと麹学入門をした次第ですよ。^^












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