メロード(イカナゴ)の即興親子丼
カテゴリー: 料理:買い魚
春の味覚、コウナゴ(しらす)とその親のメロード(ヨド、イカナゴ)が手に入りました。そうなんです。これらは親子なんです。親子とくれば、誰もが思いつくのが親子丼。さて、メロードの親子丼をどう作るか。素材を前にしてしばし、考えを巡らせます。
コウナゴは釜揚げです。宮城ではこの状態で販売されることが多いのですが、神戸では生コウナゴが販売され、各家庭で釘煮を作るのが定着しましたね。
釜揚げコウナゴはこのまま食べるのが一番美味しいのですが、丼に持ち込むには少し工夫が欲しいところです。
それぞれの特性は十分把握していますので、今回はちょっと変わった親子丼を作ってみます。まず、面倒ですがメロードを1尾ずつ背開きにしていきます。
メロードは白身で柔らかくて美味しいのですが、骨が少し硬く、丼物でご飯と一緒に掻き込むには邪魔になりますので、丁寧に開いていきます。今回は実験なので1人前で3尾使います。3人前作って失敗すると自分で始末させられます。^^
開いたメロードには胡椒を振ってから、酒と醤油を塗して下味を付けておきます。身が薄いですから、長く漬け込むと塩っぱくなります。
メロードには多少癖のある臭いがありますので、生姜醤油でも良いかも知れません。いずれにしろあまり濃い味を付けないようにして下さい。
10分ほど下味を付けましたら、片栗粉を塗して竜田揚げにします。
大きな泡がでなくなったら油から引き上げます。表面がカリッとしたらもう充分に熱が通っています。
揚げたてのメロードの竜田揚げを丼ご飯の上に並べます。
このまま、濃いめの天つゆをかけて食べても美味しそうですね。
考え抜いて思いついたメロードの親子丼がこれです。揚げ立てメロードに釜揚げコウナゴの銀餡をかけました。
銀餡はだし汁に塩で濃いめの味を付け、生姜のしぼり汁を加えます。煮立ったらコウナゴをたっぷり加えて、片栗粉で濃いめのとろみを付けます。
初めて思いつきで作ってみましたが、なかなか美味しそうでしょ。天盛りは春らしくつぼみ菜です。
食べてみると、メロードの竜田揚げがカリッとして、白身が口の中でふわっと広がります。これに釜揚げコウナゴの銀餡がご飯とのつなぎの役目をしてくれて、実に豊かな味わいです。食卓で味見をしていたら、すぐに細君と娘に取り返されてしましました。^^ この丼は初登場で我が家の春の定番丼に堂々のランクインです。
新作丼も良いのですが、ダイレクトに釜揚げコウナゴの美味しさを楽しむには、やはりこれでしょう。
熱々ご飯にこんもり盛って、青のり粉と金胡麻をぱらりと振りました。
これに煮切った日本酒と醤油を合わせたタレをかけながら、一気に掻き込みます。
日本酒は必ず沸かして火を付けて、アルコール分を飛ばしてから使わないと苦みが強くなります。この釜揚げシラスご飯も我が家の定番です。釜揚げを保存する場合は、薄く延ばしてラップにくるんでから冷凍し、食べる時にオーブントースターで焦げ目が付くくらい炙ってからご飯に乗せるとこれまた絶品ですよ。
春は降り注ぐ太陽の光が優しくて気持ちいいですね。気温も徐々に上がってきますが、みちのくの春はまだ汗ばむほどではありません。海にも雪解け水が流れ込んで、陸からの栄養補給と太陽光のエネルギーで植物プランクトンが湧き、それを食べる動物プランクトンが増殖して、コウナゴを日に日に大きくしていきます。ですが、人間にとってはコウナゴは小さいほど高級で成長せずにシラスの状態でいてもらいたいのですから皮肉です。間もなくコウナゴも成長して色づき始めるようになると、漁も終わりとなります。季節の食べ物ですから、この季節にしっかり味わっておきましょう。


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